弟子達は鍵をかけた家で一緒に集まりました。　彼らは、その三日前のイエスのはりつけを執行したパリサイ人や祭司長達を恐れていたのです。　それは復活祭の日曜日の夜の事でした。　祭司長達や長老達はイエスの死体が無くなっているのを知らされ、彼らは死体が盗まれた事で弟子達を責めました（マタイによる福音書第28章11-13節）。　彼らは弟子達を探していたのです。　それで、弟子達は戸に鍵をかけ、この部屋に隠れていました（ヨハネによる福音書第20章19節）。　その日は、キリストが死からよみがえられ、人類の歴史上で最も輝かしく、すばらしい日でした。　にもかかわらず、弟子達はどうしていたでしょうか？　彼らは鍵をかけた部屋に閉じこもっていたのです！　キリストを裏切ったユダは自殺をしました。　トマスはそこにはいませんでした。　他の十人の弟子達は、恐れのゆえに復活祭の夜に部屋に閉じこもっていたのです。

突然、“イエスが彼らの中にお立ちになった。［そして「やすかれ」と言われた］”（ルカによる福音書第24章36節）。彼らは恐れ驚いて、それは霊だと思いました。

“そこでイエスが言われた、｢なぜおじ惑っているのか。どうして心に疑いを起すのか。わたしの手や足を見なさい。　まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ｣。　［こう言って、手と足とをお見せになった。］　彼らは喜びのあまり、まだ信じられないで不思議に思っていると、イエスが「ここに何か食物があるか｣と言われた。　彼らが焼いた魚の一きれをさしあげると、イエスはそれを取って、みんなの前で食べられた。　それから彼らに対して言われた、「わたしが以前あなたがたと一緒にいた時分に話して聞かせた言葉は、こうであった。　すなわち、モーセの律法と預言書と詩篇とに、わたしについて書いてあることは、必ずことごとく成就する」。　そこでイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心を開いて”
      （ルカによる福音書第24章38-45節）。

その瞬間、キリストは、彼らが聖書を悟るように、彼らの心を“開かれ”ました（ルカによる福音書第24章45節）。　“開いて”と訳されている本来のギリシャ語は“dianoigo”です。　それは“完全に開く”（Strong用語索引） という意味です。　“Dianoigo”は、使徒行伝第16章14節でルデヤの回心を描写する為に使われている言葉と同じギリシャ語です。

“主は彼女の心を開いて、パウロの語ることに耳を傾けさせた”
      （使徒行伝第16節14節）。

神が弟子達の心を開かれたように、神は福音を受け入れるようにルデヤの心を開かれました。

“そこでイエスは、 聖書を悟らせるために彼らの心を開いて”
      （ルカによる福音書第24章45節）。

私は、これら十人の弟子達が回心したのはこの瞬間であったと確信しました。　お分かりのように、この時点まで、“おおいが彼らの心にかかっている”（コリント人への第二の手紙第3章15節）のです。

“実際、彼らの思いは鈍くなっていた。　今日に至るまで、彼らが古い契約を朗読する場合、その同じおおいが取り去られないままで残っている。　それは、キリストにあってはじめて取り除かれるのである” （コリント人への第二の手紙第3章14節）。

人が、キリストに向く時、おおいは取り除かれ、彼らの鈍くなった思いが開かれ、そしてその人は真の回心においてキリストに来る。　キリストが“彼らの心を開かれる”時、彼が“キリストの復活における信仰が彼らの中にもたらされ、すべての困惑が明白になることによって、彼らが以前から聞き、そして読んでいた神の言葉への洞察力を”与えてくださる・・・”とマチュー・ヘンリーは述べている (Matthew Henry’s Commentary on the Whole Bible, note on Luke 24:45)。

では、ヨハネによる福音書第20章22節を開いてください。　これは復活祭の日曜日の夜に、弟子達に現れた、よみがえられたキリストの出現と同じです。　それは、私達のテキストで述べられているのと正に同じ出来事を述べています。

“そこでイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心を開いて”
      （ルカによる福音書第24章45節）。

しかし、このヨハネによる福音書第20章22節で、私達はどのようにキリストが彼らの心を開かれたかが示されています。　起立してヨハネによる福音書第20章22節を声を上げて読んでください。

“そう言って、彼らに息を吹きかけて仰せになった、「聖霊を受けよ”（ヨハネによる福音書第20章22節）。

着席してください。

さて、その節に関しての二つの注解に注意を払ってもらいたいと思います。最初はThe Applied New Testament Commentary (Kingsway Publications, 1996, p. 448)からです。

彼らが御霊によって生まれ変わったのはその時であった・・・ 彼らが真実そして完全なる信仰を受けたのはこの時であった。彼らが霊的な命を授かったのはこの時であった。

二つ目の注解は、世界的に有名な聖書の教師、バーノン・マックギー博士（Dr. J. Vernon McGee）によるものです。彼はこのように述べています、

われらの主が彼らに息を吹きかけられ、そして“聖霊を受けよ”と言われた瞬間 に、これらの弟子達は再生［新生］したと、私自身は信じる。それ以前は、神の御霊は彼らの中に宿っていなかった・・・イエス・キリストは、神の御霊をこれらの弟子達に授ける事によって、彼らに永遠の命を吹き込まれた（J. Vernon McGee, Th.D., Thru the Bible, Thomas Nelson Publishers, 1983, volume IV, p. 498）。

それが私の見解です。その時点で、これらの弟子達は、生まれ変わり、再生され、回心し、そして永遠の命を授かった、というマックギー博士の意見を私は信じます。私は、キリストが次のように言われたように、最初の復活祭の日曜日の夜のその瞬間まで、彼らは回心していなかったと言う結論に来ることなしには、ルカによる福音書第24章25節とヨハネによる福音書第20章22節を読むことはできません。

“聖書を悟らせるために彼らの心を開いて”
       （ルカによる福音書第24章45節）、

キリストは、

“そう言って、彼らに息を吹きかけて仰せになった、「聖霊を受けよ”（ヨハネによる福音書第20章22節）。

これは私達に、今日私達にとって重要な、非常に多くの事柄を示しています。

1.  最初に、あなた方は、生まれ変わらずにキリストに従おうとする事が出来る。教会へ来る事が出来、聖書を読む事が出来、聖句を暗記する事が出来、祈る事が出来る。弟子達がそうしたように、あなた方はそれら全ての事が出来る。そうであっても、今だあなた方は生まれ変わってはいない、という事をそれは表している。

2.  次に、 それは、弟子達の祈りが答えられたように、あなた方の祈りも答えらる。　しかし、そうであっても、生まれ変わってはいない、という事をそれは表している。

3.  三番目に、弟子達もそうであったように、あなた方はキリストに従おうと決心する事は出来る。　そうであっても、あなた方は生まれ変わってはいない、という事をそれは表している。

4.  四番目に、弟子達もそうであったように、あなた方は福音を何度も何度も聞くことは出来る。　そうであっても、あなた方は生まれ変わってはいない、という事をそれは表している。

5.  五番目に、弟子達もそうであったように、あなた方は文字通り“主とともに歩む”ことは出来る。　そうであっても、あなた方は生まれ変わってはいない、という事をそれは表している。

6.  六番目に、弟子達もそうであったように、あなた方は聖書の言葉を知り、聖書に親しむことは出来る。　そうであっても、あなた方は生まれ変わってはいない、という事をそれは表している。

7.  最後に、弟子達もそうしたように、あなた方は外面的に力強い働きを神のためにすることは出来る。　そうであっても、あなた方は生まれ変わってはいない、という事をそれは表している。

皆さん、今日あなたに必要なことは、真の新生と真の回心です。そして、弟子達に起こった模範にあまねく続くことです。

1.  最初に、弟子達が来てキリストの説教を聞いたように、あなたは教会に来て神の言葉の説教を聞くことです。

2.  次に、弟子達がそうしたように、あなたは福音の基本的な真実を知ることです。

3.  三番目に、弟子達がそうであったように、あなたはキリストに従うことに十分に自信を持つことです。

4.  四番目に、弟子達がそうであったように、あなたは、自分自身の自信に疑いをもち、自分の罪深さを考え始めることです。

5.  五番目に、弟子達がそうしたように、あなたは自分自身の罪深さを克服するために、いろいろと試みることです。

6.  六番目に、弟子達がそうであったように、あなたは自分自身が完全に堕落した者であり、希望をもたない、生来変える能力もない、失われた罪人であることを悟ることです。弟子達が、権威者を恐れ部屋に閉じこもり、完全に希望のない、救い手のない自分達を知ったように。

7.  最後に、弟子達が最終的に生まれ変わったように、あなたは、聖書を悟らされるためにあなたの心が開かれ、聖霊があなたとキリストを合一させ、あなたはキリストに安息をもち、彼の御血でもって清められ、生まれ変わることです。

一般に、弟子達にはそのことが起こったのです。　そして、そのことは、あなたに起こらなければならないことなのです。　そのことが、すぐにあなたに起こるように。　イエスの御名において、アーメン。

晩に、役人がイエスのところに来て、 永遠の生命について尋ねた； 主は、真の御言葉でもって明白に語られた、 “あなたは、生まれ変わらなければならない” “あなたは、生まれ変わらなければならない” “あなたは、生まれ変わらなければならない” “まことに、まことに、わたしはあなたに言うが、 あなたは、生まれ変わらなければならない”

ひとの子らよ、主イエスの厳かに語られた、 御言葉にこころを傾けよ； その御言葉を無益なものにしてはいけない、 “あなたは、生まれ変わらなければならない” “あなたは、生まれ変わらなければならない” “あなたは、生まれ変わらなければならない” “まことに、まことに、わたしはあなたに言うが、 あなたは、生まれ変わらなければならない”    (“Ye Must Be Born Again” by William T. Sleeper, 1819-1904).